AIは敵か味方か？金融サービスから考える人間らしさとテクノロジーの交差点 – Money 20/20 Asiaからの考察

バンコク - 2025年4月23日

ChatGPTが初めて一般公開されたとき、多くの人々の間で「AIは人間の仕事を奪うのではないか」という懸念が広がりました。時は流れ、2025年になった今、明確になったことがあります。AIは一時的なブームではなく、私たちの働き方そのものを着実に変えつつあります。

変化に適応し、自分の仕事を奪われないように努力する人も多い一方で、「わたしはいつ、AIに取って代わられるのだろうか？」という不安が消えることがありません。

「Money 20/20 Asia 2025」で開催されたパネルディスカッション「Humanising AI in Financial Services」においても、この点に注目が集まりました。本セッションは、BridgeWiseの戦略的パートナーシップ責任者であるElena Lim氏をモデレーターに迎え、フィンテックおよびAI分野をけん引するリーダーが登壇しました。Omiseの創業者 兼グループCEOである長谷川潤、AsiaVerifyの創業者兼CSOであるFicoal Dong氏、DataKlout AI Solutionsの創業者Puneet Sinha氏の3名です。

登壇者は、AIが単なる効率化のためのツールから、進化を支えるパートナーへと変わりつつある現状、金融業界が自動化と人間らしさの間でいかにバランスを取るべきかについて議論を交わしました。以下に、セッションから得られた主なポイントをご紹介します。

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AIは代替ではなく、人間を強化する存在になる

Puneet Sinha氏は、コンピューターが登場したときも、人間の仕事が奪われるのではないかという声が上がったことを振り返りました。実際には、コンピューターは業務の効率を高め、わたしたちの働き方を大きく進化させました。AIも同様に、雇用を奪う存在ではなく、生産性を高めるためのツールだと語ります。さらに長谷川潤は、AIが今後、単純作業や定型業務を担うようになる一方で、創造性・課題解決・戦略的思考といった人間ならではの能力が求められる仕事は、引き続き人の手に委ねられるだろうと付け加えました。

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最終決定を下すのは、人間である

様々な情報が行き交う現代において、AIは優秀なアシスタントになってくれます。AIなら、膨大なデータの収集と分析をわずか数秒でこなせるからです。Ficoal Dong氏は、これまで人間が数時間、あるいは数日かけて行っていた作業を、AIが瞬時に処理できると指摘しました。しかしここで重要なのは、それでも主導権を握っているのは人間だという点です。最終的な意思決定者はわたしたちであり、AIとうまく付き合える人こそが、今後の競争で大きな優位性を発揮していけます。

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柔軟かつ迅速な規制対応が不可欠である

長谷川が繰り返し強調したのは、規制当局の役割です。これまでも、イノベーションのスピードに規制が追いつかない場面が多々ありました。しかし、AIの時代においては、遅れを取ることはもはや許されません。規制当局は追いつくだけでは不十分であり、先回りして変化を見越し、迅速に対応していく必要があります。

Puneet Sinha氏もこの見解に賛同し、AIの健全な発展を導くための倫理委員会の必要性を強調しました。AI技術が金融サービスに組み込まれていくなかで、信頼・公正性・説明責任を確保するためには、倫理的な監視体制が欠かせないと述べています。

「Humanising AI in Financial Services」という極めて時宜を得たテーマに関するパネルディスカッションにOmiseを招待いただきましたこと、Money 20/20 Asiaのご関係者皆様に心より御礼申し上げます。本セッションを通じて明らかになったのは、人に寄り添うAI、すなわち人間のために設計されたAIシステムは、単に実現可能であるだけでなく、業界の未来にとって欠かせないものだということです。

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Omiseについて

2013年に設立され、アジア太平洋地域では決済分野をリードし、米国では決済プロバイダーとして上位25社に含まれ、世界中で数千を超える加盟店にサービスを提供しています。「Access to the Digital Economy for Everyone（すべての人々にデジタルエコノミーへのアクセスを）」というビジョンのもと、成長する経済エコシステムへの公正でオープンなアクセスを提供し、革新的な方法で人々、企業、社会をつないでいきます。

詳しくは、ウェブサイト（URL：www.omise.co）をご参照ください。